「いやだぁぁぁ!」
例年にない暑さで攻撃し続けた夏もどこかへ撤退し、
見上げると、そこにひろがるのは秋の空。
「あー、引越しでもしようかな」
今住んでるところにも飽きてきたし、気分転換を兼ねての部屋探し。
でも、思いっきり遠くに離れるわけにもいかず、バス停5個分だけ進んでみた。
すぐ近くなのに、今まで歩いた事のない道。
見知らぬ家並。
ちょっとした旅行気分。
「不動産屋はあるかな?」
ひとりごちながらキョロキョロ探す私。
そんな私の目の前に、変わったデザインの建物が・・・。
「ぷりずん まんしょん?」
見上げると最上階はいまだ工事中の様子。
でも、その下の階までは人の住む気配が。
物珍しさも手伝って、入り口に近づいてみた。
【入居者募集】 貼り紙がしてある。
「何だか面白そう」
ほーら、出てきたよ、私の悪い癖!
ヘンテコなものや奇妙なものに無条件に引っ張られてしまう。
この性格のお陰で、どんだけ破茶目茶な展開を経験したことか。
自動ドアの前に立つと、微かな振動音とともに扉が開いた。
ーーーギュゥイィィ~ンーーー
ギターの音と一緒に男の人が現れた。
「PRISON MANSIONへようこそっ!!」
ーーージャガジャァ~ンーーー
呆気にとられてる私なんかお構い無しだ。
「入居希望者だね、ベィビー。ほら、キーだ受け取りな」
目の前にずいっと鍵が差し出される。
「あっ、いえ・・その・・、部屋を見せてもらえますか?」
「部屋を見る?そんな必要は無いぜー。気に入らないところは
ぜーんぶ作り変えちまってオッケィさっ!」
「作りかえる?」
「壁なんかぶっ壊しちまえよ。イカれたロックンロールパーティしようぜ」
意味不明なことを言いながら、私に鍵を持たせると、彼は部屋に消えて行った。
「まっいっか。どうせだから部屋だけでも見てくるか」
鍵についてるプレートで部屋番号を確かめてエレベーターに乗る。
5階のボタンを押す。
ーーーピンポンーーー
2階でエレベーターが止まると、迷彩服を着た厳つい男の人が乗ってきた。
真っ白で可愛いプードルを抱きながら・・・・。
何だか落ち着かない。次の階で降りよう。
ーーーピンポンーーー
私はエレベーターを降りて、階段を探した。
廊下を歩いているとウェディングドレスを着た女性とすれ違った。
なんか不思議なところだなぁ。
階段を昇ろうと思ったら、今度はランドセルを背負った小学生。
「これから学校?」って聞いたら
「学校への行き方忘れちゃったよぉ」って泣き顔になった。
ここ、なんだか変だよ。まずいかもしれないよ。
「帰った方がよさそうじゃない?」
自分で自分に質問してみる。答えはYES。
急いで階段を下りる。
さっき入ってきた自動ドアの前に立つ。
・・・・あっ、開かない・・・・・
「HEY YOU!無理だぜ」
さっきのギターの人だ。
「無理って?」
ギターの人はニヤリと笑って答えた。
「鍵を受け取った人は、二度とは で・ら・れ・な・い・・・」
今朝、「PRISON MANSION」を聴いたら
一日中、頭から離れなくなっちゃったの。
それで、なんとなくね・・・・・。
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